集中できないのは、集中力の問題じゃない?

創作活動や勉強をしている時、気がつけばスマートフォンをいじってしまったり、YouTubeやTikTokを見てしまうことってありますよね。
その度に、「なぜ自分は集中力がないのだろう」と自分を責めるかもしれません。実は私もそう思っていました。一日中創作できる力が欲しかった…
しかし、実際は違ったのです。創作活動中に気が散ってしまうのは、実は集中力の問題ではなかったんです。

え? どう考えても集中力の問題じゃないの?

でもさ、そもそも集中力って何?

あれ? そういわれると説明できないなぁ…
「認知の耐性」が真の原因?

気が散ってしまうのは、集中力の問題ではない。
じゃあ何の問題なのか?
原因は認知の耐性というものです。
認知の耐性って何?
認知の耐性とは、一言で言うと「不快感に耐える力」のことです。
「え? 不快感に耐える力が、創作や勉強にどう関係があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。が、めちゃくちゃ関係あります。
たとえば、集中力が足りないと自覚している人も、面白いゲームや小説には没頭できますよね。
なぜか?
面白いゲームや小説は、「楽しくて不快感が生じないから」です。
一方、勉強や創作活動においては、うまくできなくて、不快感を感じることがあります。
この「不快感」に耐える力があるかどうかが、実は集中力を維持する上で重要なのです

要するに、嫌になったときに耐えられる力ってこと?

不快感に耐えられると集中できるってことなのかな?
認知の耐性を鍛えるメリット
創作では、良い表現が見つからない時に不快感を感じることがあります。
勉強でも同様に、「わからない」という不快感を覚える瞬間があると思います。
この時、不快感に対する耐性がないと、どうなるか非常にシンプルです。
不快感から逃れるために、「気楽に楽しめる活動」へと注意が移ってしまいます。
その結果、ネットサーフィンやYouTubeなどの「簡単に気分を良くできるもの」へと逃げてしまうわけです。
「認知の耐性」を鍛えることができれば。大事な時間を有効に使うことができるようになります。

確かに創作で集中力が途切れるときって、どうしたらいいか迷ってるときかも!

ノリノリでやってるときって、結構集中できたりするもんね

んー、でも、その「認知の耐性」ってどうやったら鍛えられるんだろう?
認知の耐性の鍛え方

「じゃあその認知の耐性ってどうやって鍛えたらいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
いろいろな鍛え方がありますが、ざっくり3つほど紹介したいと思います。
難解な文学・哲学を読む

まずは力技。
一番シンプルな方法は、難解な文学や哲学、科学書を読むことです。
この方法は、まさに筋トレのようなものです。分かりづらい本を読むことで、認知の耐性を鍛えることができます。
難解な文学作品、哲学書、例えばドストエフスキーの「罪と罰」のような作品や、理解するのが難しい科学書を読んでみましょう。
ちなみに、読むときは内容が完全に理解できなくても構わないのです。
むしろそれでいい。
大事なのは、理解しようと努力すること、その過程で感じるであろう不快感に耐え続けることです。
こうやって鍛えることで、日常生活や創作活動、勉強中に直面する困難や不快感にも耐えられるようになります。
私自身も難しい本を読むのが好きですが、そのおかげか、ここ最近は「絶対に正しいこと」にこだわらなくても大丈夫になってきました。
「正義ってあいまいだよね」「自分の正義が間違うことはあるよね」みたいな不快感に問題なく耐えられるようになりました。つまり自分の正義を押し付けないので人格もよくなります(多分)。これで私も人格者!
できる人には超おすすめなのでぜひ試してみてください。
一応研究には書かれていないのですが、「常識から外れた主張をする本」や「意味不明すぎる歴史的事象を学ぶ」なんかも効果があるような気がしています。「裸はいつから恥ずかしくなったのか?」とか、「大衆の狂気」なんかは結構おすすめです。

はぇ~。結構ハードル高そうだけど確かに効果ありそう

まあ正直作者も『罪と罰』読んだかっていうと読んでないから、「ちょっと難しい」レベルから始めるのもいいかもね

確かに! じゃあニーチェの「善悪の彼岸」とか読んでみよっかな

難易度高すぎない!? 私の話、聞いてた???
独り言のトレーニング

二つ目は、独り言です。
「いきなり何言ってるんだこいつ?」と思ったことでしょう。正直私もそう思います。
順番に説明していきます。
不快感に呑まれるのは客観視できないから
まず、私たちが不快感に呑まれるのは、不快感を客観視できていないからです。
「は?」と思うかもしれませんが、例えばゲームの中の登場人物がゾンビに襲われても、我々は平然としていられます。これは、「不快感が他人事なので、客観視できるから」です。
もうちょいわかりやすく言うと、友人の恋愛の悩みとかは一発で解決策までたどり着けますよね。これも、不快感から距離を置けているからです。
自分の悩みだと不快感に呑まれてしまっているので、解決策が出てこないのです。
つまり、「不快感に耐える」ために「客観視」は有効なのです。

確かに、自画自賛してても周りから見たら微妙な絵とかあるよね!

ひぇ! 言葉選ぼう、お姉ちゃん
どうやったら客観視できるの?
で、客観視のための最強の手段が「独り言」です。
まず、日常生活で不快感を感じた瞬間に、その感情を独り言で表現しましょう。
独り言が苦手な場合は、心の中で言葉にするだけでも構いません。
例えば、雨に濡れて不快な時に、「私は今、雨に濡れて不快感を感じている」と声に出してみるのです。
するとあら不思議、その瞬間の感情を客観的に捉えることができます。え? 意味不明? とりあえずやってみてください、話はそれからです。
さらに、応用編。自分を第三者の視点で見るように言葉を変えることも効果的です。
例えば、「雨夏ユカリはこの本を読んでいて、その難しさにストレスを感じている」と三人称形式にすると述べると、さらに客観視しやすくなります。
いや突然何を言ってるんだ、と思ったことでしょう。私も正直ちょっと思いました。

いやいくら何でもぶっ飛びすぎてるね!?

一応、そういう人のためにもうちょっと詳しく話してくれるみたいよ
何言ってんだこいつ、と思った方のために
要するに、声に出すことで、客観視しやすくなりますよ、という話です。
で、これ、我々にも経験があるんですね。
そう、「音読」です。
自分が書いた文章を、音読することで初めて客観視できるようになる現象ってありますよね。
ただ見ているだけでは見えなかった誤字脱字や表現の荒さが、音読によって明らかになることがよくあります。
これは声に出すことで、自分の作ったものを客観視できるようになるからです。

うっ…自作小説を音読した時の記憶が……

大丈夫! 多分それ全人類が通る道だから!
さあ、独り言を始めよう
さあ、ここまで読み進めた時点で「独り言のすばらしさ」は伝わったかと思われます。
独り言で不快感を表現することで、それを客観的に捉え直せます。
結果、不快な感情に流されることなく対応策を考えることができるようになるのです。
この技術を身につけることで、日常生活だけでなく、創作活動や勉強においても、不快感に対応できるようになるでしょう。
例えば、「私は今、この問題を理解できていないことに不快感を感じている」や「この表現に迷っていることが辛い」と声に出して言うことで、自分の感じている不快感や困難な状況を客観視しやすくなります。
そして、人間とは不思議なもので、客観視するだけで意外と不快感にのまれず、やるべきことを続けられるようになるんです。不思議。
聞くだけでは「本当にそんなに効果があるのか?」と思われるかもしれませんが、実際に試してみるとかなり効きます。
私自身もめちゃくちゃ使ってます。いかんせん無料なので、だまされたと思ってやってみてください。効きます。

いきなり意味不明な内容が語られて、私は困惑している……こんな感じ?

お姉ちゃん、なんだかんだいいつつちゃんとやってるの偉いなあ

無料だからね! 試しても損はないし
YouTubeの倍速をやめてみる

三つ目の方法は、「YouTubeの倍速視聴をやめること」です。効率廚以外の人には簡単ですね。
私たちはついつい効率を目指して、Youtubeを倍速で見たくなります。
確かに倍速にすることで一見、効率が良くなり、すぐに多くの情報を得られるような気分になれます。
しかし、ここであえて倍速をやめることで、情報を得るまでの時間を延長するのです。
この方法を実践することで、情報を得る過程での忍耐力が養われます。
二倍速だと5分で見終わる動画を10分、15分かけて見ることは、不快感に耐える訓練になります。
ついでに、おまけとして動画の内容をより理解できるようになります。
実際に私も、以前はYouTube動画を2倍速で視聴することが効率的だと考えていました。
しかし、時間に関する本を読んだり、さまざまな情報に触れることで、速度よりも内容を深く理解することの方が大事な可能性もあるなーと思い、最近はこの方法を試してます。
この方法は、楽だし一石二鳥なので結構おすすめです。でもたまに倍速にしちゃうのはご愛敬

急に簡単なやつ来たなぁ

といっても、倍速文明に染まりきった私たちには結構難しいよね

一日一動画だけ、とかならできるかも!
まとめ

まとめると、私たちはよく「集中力がない」と感じるけど、その根本問題は集中力の欠如ではなく、認知の耐性の不足っぽい、という話です。
認知の耐性が不足していると、ちょっとした障害や困難でも、手軽な快楽へと逃避してしまう傾向があります。
しかし、認知の耐性を鍛え、不快感に耐える力をつけることができれば、集中力がないと感じることなく、やるべきことに向き合えるようになると思います。
抵抗感がある場合でも、最後のやつは比較的簡単に始められるため、まずは1日1本だけでもYouTubeの視聴速度を変更することから試してみてはいかがでしょうか?
参考文献の紹介

実際にこの文章を書くにあたって、参考にした本たちの宣伝です
\生産性なんて罠だ。ビジネス書をぶった切る痛快の一冊/

元生産性オタクの筆者が、長年生産性を追い求めた末に気づいたことは「生産性を追い求めても、結局仕事が増えるだけじゃん」という悲しい現実だった……。
あらゆる自己啓発をぶった切ってきたオリバー・バークマンさんが、ついにビジネス書をぶった切り始めた痛快な一冊。
本文の『認知の耐性』のアイデアはこの本から来てます。なお、この本には思わず「これはくるってるなぁ」と言いたくなるような認知の耐性の高め方が書かれてます。いつかやりたい。
2023年に読んだ本の中のベストバウトなので、心の底からおすすめ。
あと、翻訳家の高橋さんがあまりにも美しい文体を書いているので、そういう面でもおすすめの一冊。いやほんと大好きすぎて文体パクッてます。ありがとう。
\時間術を使ってもなぜうまくいかないのか? その理由は○○にあった/

研究では「時間術の効果は微妙」となりがちなんですが、どうやら「人によって時間術の合う、合わないがあるんじゃね?」とのこと。
つまり巷で噂の時間術をうまく使えないのは、人によって向き不向きがあるからっぽい。
そこで、この本では「その人に合う時間術を作ろうぜ」という発想から、研究データと診断をもとにその人にあった時間術を教えてくれる本。
『限りある時間の使い方』よりも、研究データ・分析に重きを置いた論調なので、そういうのが好きな人におすすめ。
\頭の中で止まらない不安。 その対策は“独り言をブツブツ言うこと”/
『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 イーサン・クロス著

不安とか自己批判がヤバい。そんな人におすすめの一冊。
天才キャラがブツブツと独り言をつぶやくのはどうやら正しかったっぽいぞ、という一冊。
独り言の力が思ったよりも強大で、思考の整理やらアイデア製作やら、不安対策やらの広い汎用性があったぞ、ということを、ミシガン大学の心理学部教授が記した一冊。
今回取り上げた独り言の元ネタ。より詳しく学びたい方は是非読んでみてください。
